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平成21年7月11日(土)より、第1回『市民のための統合医療塾』特別講習を開催いたします。


第1回『市民のための統合医療塾』特別講習
はじめに 川嶋 朗

20世紀に花開いた西洋医学は狩猟民族の医学であり、敵を想定してそれを駆逐することを得意としています。したがって病原微生物対策(衛生面の強化、抗生物質の開発など)などを中心に急速な進歩を遂げ、寿命の延長など大きな貢献をしてきました。しかしその反面、長寿であるが故の生活習慣病などの(敵ではない)慢性疾患や精神的な要素の関与する疾患、(まさに敵が見えない)原因不明の疾患、治療後の再発性の疾患などについてはその治療に苦慮する例も多々あります。

 

西洋医学はもともと分析科学的な手法を用いており、病気の病態解明とそれに伴う治療法の開発という過程を経ることに重点を置いたため、病人よりも病気のほうに焦点があたりがちという欠点があります。
わが国では、他国に類を見ないほどのスピードで高齢化が進んでいます。高齢者の医療費は全体の約40%にものぼります。ということは、本来なら医療費は増大させねばなりませんが、政府はまだ医療費をそうしようとはしていません。このままでは、医療の質が低下し、医療ミスがさらに増加しかねません。医療の質を低下させないためには、本当に必要なところに十分に医療費を使えるようにすることです。つまり基本的に病気にならないようにする予防に重点をおくべきと言えます。

 

こうした背景から、欧米では西洋医学の欠点を補い、患者を全人的に治療できる相補・代替医療complementary & alternative medicine(以下CAM)が盛んに行われるようになってきています。さらに、近年、CAMから西洋医学的アプローチを包含した統合医療integrative medicine(以下IM)が論じられるようになってきています。

 

たとえば、米国では健康保険制度がなく、病気になると高額の医療費を自己負担せねばならず、そのため予防医学が発達し、慢性病を完治できない近代西洋医学に代わるものとしてCAMが積極的に行われています。実際、米国民の50%近くはCAM を利用しており、CAMにかける医療費は総医療費の50%を超えています。どのような医療を選択するかは個人に依存し、それによって治癒効果や費用も大きく異なるため、医療機関が互いに競争することで米国全体の医療費も低下する傾向にあります。

 

米国national institute of health(NIH)には国立補完・代替医療センターnational center for CAM(NCAM)があり、すでに1億ドル以上の予算を計上して様々なCAMに関する研究や調査が行われています。

 

教育面からみても、米国の医学校125校のうち75校(60%)でCAMに対する講義も始まっている。イギリスやフランス、ドイツなどでもすでにCAMについての教育がなされており、オーストラリアでは、自然療法が学位の対象とされ奨学金すら出されている大学もあるのです。

 

しかしCAMに問題がないわけではありません。「○○でがんは治る」などの健康食品のマニュアル本や広告などの被害を受けた消費者ないしは患者は少なくありません。CAMの施行者の中には西洋医学を根拠なしに否定するものや、経営戦略のみを考えたもの、思い込みのみすなわちいかにも邪教の教祖のような施行者などが存在します。

 

こうした被害にあわないため、また先に述べたCAMを利用した予防を実践するためには、医師や公的機関に頼っていたのでは遅すぎます。今こそ、市民自らIM/CAMを学び、あるときはその実践、あるときはその指導に活用し、そして最終的には自らの健康と幸せを自ら手に入れようではありませんか。

 

「市民のための統合医療塾」は、市民にCAMのみならず西洋医学の基本的な知識を提供し、IMを市民に正しく利用していただくためのプログラムです。統合医療を学び、市民の手で医療改革を成し遂げようではありませんか。

 

川嶋 朗
東京女子医科大学附属青山女性・自然医療研究所自然医療部門
NPO法人国連支援交流協会 メディカル市民フォーラム(MFGC)
NPO法人統合医療塾